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    「パソコンは誰でも簡単に作れる!」という声をSNSで時々見かけます。両親が使っている実家のパソコンがちょうど買い替え時期だったため、そんな声に後押しされて、私も自作してみようと思い立ちました。

    また、当社は「ニッポンのITを本で支える」をミッションに掲げる会社ですので、自作パソコンに慣れ親しんでいる社員も多く在籍しております。そのため、私も日々IT書籍の編集を行う身として先輩社員のように、経験してみたいという思いもありました。

    今回のブログでは、実際に作ってみて、初心者がつまずきやすいと感じた3点を中心に、感想を交えつつお話ししていきます。

    ①パーツ集めはお店でするべき

    近くに店舗がない場合は、「Amazonなどのショッピングサイトで買おうかな」と思いますよね。私も一部はインターネットで購入したのですが、失敗してしまいました。初めての場合は、ぜひ店舗で、お店の人に相談しながら購入することをおすすめします。

    自作パソコンの場合、たとえば、CPUとマザーボードのソケットをあわせる・マザーボードに対応しているメモリを選ぶ、などのように、パーツごとの相性を踏まえたうえで購入する必要があります。

    それがパソコン作りの楽しい過程でもあります。しかし、自作初心者の場合は、「調べるのにかなり時間がかかる」「精密機器は返品不可の場合があり、高額な機器を間違えて購入してしまったときに、懐へのダメージが大きい」などのデメリットを考えると、店舗での購入の方が安全です。

    自分であらかた調べたうえで、「初めての自作ですが、このパーツの組み合わせで問題ないでしょうか?」と店員さんに確認するのが一番安心できる方法だと思います。特に秋葉原のベテラン風の店員さんに「その組み合わせで大丈夫です」と言ってもらったときの安心感は絶大なものです。

    ②カチッと音がしても、はまっていない場合はある

    私が一番つまずいたのは、組み立て時のパーツのはめ込み具合でした。パーツを集め、最小構成で起動テストをしたところ、「マザーボードの通電は確認できるが(基盤が光っており、CPUファンがまわっている)、モニターに画面が映らない」状態から一向に進まなくなってしまいました。そこで原因特定のために、「ブザーユニット」を追加購入しました。ブザーの短音、長音や回数の組み合わせで、エラーの内容を教えてくれる優れものです。

    ブザーユニット
    ブザーユニット

    そしてマザーボードの指定の位置に設置すると、「ビービビ」。長音1回に、短音2回。確認するとメモリ認識不良とのことです。

    ブザーユニット拡大図
    マザーボードの指定の位置に挿し、電源を入れると音が鳴ります
    (この画像では既にパソコンケースにマザーボードを取り付けている状態)。

    メモリ
    メモリの両端のツメのハマった音がしても、実際は若干浮いてることもあります。

    両方のメモリのツメがしっかりはまり「カチ」という音がしたので、ここは問題ないと思っていましたが、もっと強く押し込んだところ、遂に画面が映りました。「音が鳴るまで、差し込みましょう」と、はよく聞くものですが、なるほど、音が鳴っても差し込みが甘い場合があるのか……。いや、音が鳴ったらはまっている設計にしてほしいなあと思いましたが、ひとまず動いて本当によかったです。

    ③SSDにOSをうまくインストールできなかった

    今回は、パソコンケースに内蔵型のストレージではなく、もともと所持していた外付けのSSDを使おうと考えていました。いざパソコンが組みあがり、無事にBIOS画面も表示されたので、Windowsのインストールを進めようとすると、「このパソコンではWindows11を実行できません」のエラーが表示されます。OSのパッケージだけで2万円もしたのに、Windows11の要件を満たしていなかったのか、と一瞬絶望します。エラーの詳細としては、「セットアップではUSBまたはIEEE1394ポートを通して接続されたディスクの構成やインストールはサポートされていません」とのことで、どうやら外付けのSSDはUSB接続なので、BIOS画面からはOSを入れられないようです。

    この解決方法は単純なものでして、外付けのSSDの場合は、予めほかのパソコンで、OSをインストールしておけば良いようでした。

    準備が完了したSSDを、自作パソコンに接続すると……。

    ようやく見慣れたWindows11の画面が映りました。長い道のりでしたが、無事に完成までたどり着いて、本当によかったです。

    自作パソコン画像
    完成した自作パソコン

    この段階で忘れないうちに、購入したOSのプロダクトキーを入力し、Windowsのライセンス認証をすませておきました。

    最後のパソコンのスペック紹介と自作してみての振り返り

    最後に、実際に作り上げたパソコンのスペックも紹介します。なお、今回は両親の希望に沿ったスペックになるようにしました。2人の要望としては、「前のパソコンは起動に5分以上かかっていたので、今回は動画のような重いデータであってもサクサク読み込めるものがよい」「データ容量については、Officeをたまに使用する程度なので特に重要視はしない」とのことでした。実際動かしてみると、下記のパーツでひとまず希望を叶えたパソコンになりました。

    パーツ製品名値段
    CPUINTEL CPU BX8070110400 Core i5-10400 プロセッサー、2.90 GHz(最大4.3 GHz) 、 12 MBキャッシュ 、 6コア26,980
    マザーボードASUS PRIME H510M-A(H510 1200 mATX)8,980
    メモリPC4-21300 8GB デスクトップ用 バルク品 正常品×23,980
    SSDUSB3.2(Gen1p SSDPG500U3) 500GB7,678
    PCケースThermaltake Versa H26 Black /w casefan ミドルタワー型PCケース [ブラックモデル] CS7070 CA-1J5-00M1WN-016,848
    電源ユニットCorsair CX650M PC電源ユニット 650W 80PLUS Bronze認証 セミモジュラー ATX 2021モデル CP-9020221-JP PS11269,982
    OSWINDOWS11 Home  パッケージ版19,360
    ブザーユニットAINEX BZ-01A440
    購入したパーツ一覧表
    (モニターは家にあったテレビを使用するので、今回は購入しない)

    計 83,878円

    BIOS画面では、CPU、メモリ、ストレージを認識していることが確認できます。

    BIOS画面
    BIOS画面で接続先を確認する。

    また、上の表には最低限必要なものだけ書いたので、アクセサリ類なども含めて考慮すると、実際の合計金額はまだ膨らんでいくはずです(キーボード・マウス・HDMIケーブル・ヘッドセットなど)。近所の家電量販店で確認してみたところ、「CPU: Core i5・コア数6 ・スレッド数12/メモリ:16GB」程度の場合、ノートパソコンは10万〜13万円程度が多かったように思います。

    調べたり、悩んだり、手間暇かけたりしたことを考えると、パソコンに高性能を求めていない場合は市販のものを購入するほうが、よいかと思います。もちろん普段からパソコンのカスタマイズをしている方は、自作のほうが値段以外にも多方面でメリットがあると思います。

    今回は、「パソコン」の中身を、自分で0から作り上げたという達成感が味わえたため、プライスレスということにしておきます。また、初めての自作のため、色々と妥協した部分もありますが、今後も少しずつこのパソコンを自分好みに改造していきたいと思います。

    参考:

    今すぐ使えるかんたん 自作パソコン Windows 11対応(技術評論社)