• ITに強い編集プロダクション・リブロワークスのWebサイト

    絵が下手でも、絵を描かなければいけない時がある

    突然ですが、私は昔から絵を描くのが苦手です。
    かつて美術のデッサンの授業で、真剣に描いているのに「真面目に描いていない」と勘違いされてダメ出しをくらったことがありました……。
    これ以来、デッサンについては苦手意識が生まれてしまいました。
    絵を描くことは嫌いではありませんし、むしろ好きですが、正直絵心はないと思っています。

    編集の業務では、新規のイラストをイラストレーターに発注する際、それらのラフを描くことが度々あります。 
    このラフでは、必ずしも絵を上手に描くことは求められません。
    ただし、絵が何を示しているか、ラフを見た人がわかるように描く必要があります。

    例えば「ねこを描いたのに、耳が丸すぎたためたぬきに見える、と言われた」といったような事態は極力避けたいところです。
    世間話などのちょっとした会話であれば、「なんだ、そうだったの?」といった程度の話で済みますが、仕事でこのような認識違いがあると、後々大きなトラブルにつながりかねません。
    そのため、下手なりに、できるだけ一目で何を示しているのかわかるようなラフを描くように心がけています。
    幸い、ラフに関して不明瞭という指摘をいただいたことはありませんが、ラフを提出するたびに内心どきどきしています……。

    そのような状況の中、「人に伝わる」イラストを描くのを手助けしてくれる、「AutoDraw」という便利なツールを見つけたのでご紹介します。

    AutoDrawとは?

    AutoDrawは、ブラウザで利用できる無料の描画ツールです。
    この描画ツールでイラストを描くと、AI(人工知能)が判断して適切なイラストに変換してくれます。

    ちなみにこのAutoDrawは、Googleが提供しているサービスの1つになります。
    GoogleといえばGmailやGoogleドライブなどのサービスが有名ですが、AutoDrawはGoogleのアカウントを持っていなくても利用できます。
    また、インストール作業なども不要で、AutoDrawのWebサイトにアクセスしたらすぐに描き始めることができます。

    もう10年以上Googleのサービスを利用していますが、このようなツールもあったとは……。
    さすがは天下のGoogle、幅広いサービスを展開しているなあと感じました。

    AutoDrawでイラストを描く

    AutoDrawはパソコン/スマホ/タブレットで利用できます。
    また、マウス以外にも、指やタッチペンを使って描くことも可能です。
    今回はパソコンでAutoDrawを使ってみます。

    まずはAutoDrawのWebサイトにアクセスします。
    Start Drawing」をクリックすると、描画画面に切り替わります。

    キャンバスが表示されました。
    画面の左側にある機能の一覧から「AutoDraw」をクリックし、キャンバス上にイラストを描きます。

    マウスを使ってりんごを描きました。
    角張っているのはご愛嬌ということで……。

    すると、描かれたイラストがどのようなものかAIが瞬時に判断し、画面上部にイラストの候補が表示されます。
    候補をクリックすると、描いたイラストが選んだ候補のイラストに変換されます。
    今回は一番左側に表示された候補をクリックしてみます。

    選んだ候補と同じ、りんごのイラストが表示されました。
    ほかの候補を表示させたい場合は、候補の各アイコンをクリックします。
    左から2番目に表示されている候補をクリックすると、別のりんごのイラストが表示されました。

    りんごその2

    このように、同じりんごでも複数のバリエーションがあり、自分の描きたい状態に近いものを選択できます。

    なお、表示されている候補のうち、一番左側に表示されているものが、描いたイラストに対して最も近いとAIが判断した候補です。
    右の候補になるにつれて、関連性は薄くなります。
    試しに、中央付近の候補をクリックすると、壺が表示されました。
    縦長で、下半分がでっぷりしているという意味では近いかもしれません。

    壺

    さらに右側に表示されている候補をクリックすると、プールになりました。
    先ほどまでの候補と異なり、りんごの面影が全くありません。
    なぜプール……。

    プール

    人間からすると全く違うものに見えますが、AIからすると近いものに見えた(判断した)ということなのでしょうか。
    もし、りんごを描いたつもりなのにこの候補が最も左側に表示された場合は、まずAIに適切に判断してもらえるような絵を描く必要があるかもしれません。

    AutoDrawのメニュー

    キャンバスの左にある描画メニューからは、先ほど選んだ「AutoDraw」以外にも、さまざまな機能が選択できます。
    ちょっとしたイラストを描く際に、気軽に使えるペイントソフトとして利用するのも手ですね。

    画面左上にある三本線のメニューをクリックすると、AutoDrawの設定などに関するメニューが開きます。

    メニュー
    左上の三本線のメニューをクリック


    「Start over」内の四角形のいずれかをクリックすると、キャンバスの形を正方形や縦長の長方形に変更できます。
    「Download」をクリックすると、イラストを画像としてダウンロードできます。
    なお、画像の保存形式はPNGで固定です。
    「Share」をクリックすると、Twitterでイラストを公開できます。
    リンクをコピーして貼り付ければ、ほかのSNSやメールなどでも共有可能です。

    AutoDrawを使った感想

    ほかにもいろいろイラストを描いてみましたが、9割ほどは意図したイラストに変換してくれました。

    Before
    After

    AIのレスポンスが早く、軽快に動作するため、「ささっとイラストを描きたいけれど思ったように描けない!時間がない!!」というときに役立つのではないでしょうか。
    また、ビルや人物のシルエットなどにも変換できるため、仕事の打ち合わせ用の資料やプレゼンテーション用のファイルの作成にも使えそうです。
    今後公私ともに、イラストを描いて他人に見せる必要が出てきた際、利用していきたいです。

    絵が苦手でも、AIによって誰が見てもわかるイラストに仕上げてくれる……。
    便利な世の中になったものだなあと感じました。

    AIは、Google HomeやAmazon EchoといったAIスピーカーや、ルンバを代表としたお掃除ロボットなど、さまざまな機器やサービスに使用されています。
    さらに今はもう、このような誰でも無料で利用できる描画ツールにも使われるようになりました。
    もはやAIは特別な存在ではなく、ごく身近にいる、人に寄り添った存在といえます。

    今後も、AIを活用したさまざまな機器やサービスが登場すると思われます。
    個人的には、AutoDrawのイラスト作成のような、人間の苦手としている要素をサポートしてくれる技術が増えてくれると嬉しいなあと思いました。
    どのようなものが出てくるか、とても楽しみです。