• ITに強い編集プロダクション・リブロワークスのWebサイト

    皆さんは「知っている」ではなく、「わかっている」ことはどのくらいありますか?

    日常生活で知りたいことができたとき、インターネットを使えば数秒で検索できますよね。便利な反面、頼りすぎてしまってよいのだろうかと不安になることもあります。

    今回は「わかる」とは何かについて考えてみます。

    情報の置き場所を知っておくだけでいい?

    私が「わかる」とは何かについて意識したのは、中学生のころ、社会の授業で先生に言われたことがきっかけでした。当時は中国の人口が13億人、インドの人口が10億人くらいだったのですが、「この数字は変動するものだから暗記しても意味がない」と教わりました。確かに、変動しそうなのでおおよその値を知っておくだけでよさそうだなと思いました。

    その話に関連して、「これからの時代は情報があふれるから、情報を暗記するのではなく、必要な情報がどこにあるのかを知っているだけで十分」と言われたんです。

    人間が覚え切れる情報には限りがあるし、情報の置き場所を知っていれば事足りることも多いでしょう。ただ、私はこのとき、言葉にできない違和感を覚えたのです。

    この違和感が何なのか、わからないまま過ごしていましたが、大学生のときに読んだ本に、こんなセリフがありました。

    “目の前で血を流して倒れている人がいるときに、「出血の止め方」と検索するのか? そうじゃないだろ”

    私が感じていた違和感はコレか! と思いました。ただ単に「情報の置き場所を知っていること」は、身をもって体験したことや感じたこと(わかっていること)にはかなわないということですね。当たり前といえば当たり前のことですが、当時の私は違和感の正体がわかってスッキリしたのを覚えています。

    インターネットを使わずに情報を得る

    話は変わりますが、私の母は、数年前にスマホを買うまで、ほぼインターネットを使わずに生活をしていました。困ったらまず調べるのが当たり前の自分からすると不便ではないのかなと思っていましたが、母のすごいところは、インターネットを使わないからといって情報に疎いわけではないことです。話題のモノ、人、ご近所情報など、いろいろな情報を知っているんです。

    以前、そんな母が不思議で、どこから情報を得ているのか聞いてみたところ、家族・友達や親戚、職場の人、近所の人との会話から多くの情報を得ているようでした。

    母はいつもスマホやインターネットを使いこなせる人がうらやましいと言いますが、私からするとインターネットがなくても日々の困りごとを解決できる母がうらやましいなと思いました。便利な時代だからこそ、人とのつながりやちょっとした会話も大切にしたいものです。

    少し話はズレますが、携帯電話のない時代に待ち合わせ場所でずっと待ち続ける……というどこかで聞いた歌詞のような状況にも憧れます。いま同じことをやったら単なる変な人になってしまうので(笑)。

    検索力を伸ばすには

    とはいえ、現代で「私は自分で考えたいので検索しません!」というわけにもいかない人が大半ではないでしょうか。特に仕事においては、検索する機会は少なくないはず。

    私はこれまでの経験から、まず自分で考えてみて、それでも考えが広がらない場合に検索してヒントを得るというやり方が一番よいと考えます。

    そして多くの場合、検索する力(自分が調べたいことを早く見つける力)を持っていたほうが、いろいろなことがスムーズに進みます。検索する力が劇的に伸ばせる、というわけではありませんが、普段仕事で検索する機会の多い私が実践していることをいくつか紹介します。

    わからないことをそのまま調べてみる

    検索するテクニックはいくつかありますが、基本はわからないことをそのまま入力してみることを意識しています。

    例えば、「耳 おでき」で検索すると、痛みのあるおできやかゆいおでき、出血のあるおできなど、さまざまな症例が表示されます。ここで「耳 おでき 痛くない」で検索すると、痛くないおでき(粉りゅう)の情報が多く表示されます。症状を詳細に入れたほうが、目的の情報に近づけるというわけですね。

    ただし、あまり詳細すぎると検索結果が極端に少なくなることがあるので、最初は少ないキーワードで検索し、絞り込むほうが効率的です。ちなみに耳のおできは数ヶ月前に私が検索したワードです……。

    ツールを使い分ける

    検索というとGoogleやYahoo!などの検索エンジンを使うのが基本ですが、知りたい情報によってはツールを使い分けたほうが適切な場合もあります。ここでは私がよく使うツールや機能を紹介します。

    Twitter

    最新の情報を得るのに最適なのは、Twitter(またはYahoo! リアルタイム検索)です。

    特に便利なのは、電車が遅延したときです。公式の情報では「運転見合わせ」と表示されていても、実際に止まっていた電車に乗っている人が「●●駅で運転再開」とツイートしていれば、振替輸送を使わず電車の到着を待ったほうがよいと判断できます。反対に、公式サイトに「運転再開」と表示されていても、「動いてはいるものの駅に着くたびに長く停車するので遅刻確定」というツイートがあれば、時間に余裕を持って動いたほうがよさそうと判断できます。

    また、ツールの不具合が起きているときも大変役立ちます。業務で使用するチャットツールやメール、はたまたレンタルサーバーの不具合など、Twitterで検索して同じような状況になっている人がいれば、サービス側に問題が発生していると原因が切り分けられます。

    Google検索結果の絞り込み

    Googleの検索結果から、期間を指定して絞り込む方法も便利です。

    例えば、Windows11の新機能を調べたいときに、「Windows 11 新機能」で検索すると、正式なリリース前に書かれた記事と、リリース後に検証して書かれた記事が混在して表示されます。そこで検索結果をリリース日以降に指定して検索するわけです。

    期間は「1時間以内」「24時間以内」などの選択肢から選ぶほか、「期間を指定」から個別に設定できる

    Yahoo!知恵袋

    Yahoo!知恵袋は、個人の質問に対して、個人が回答を投稿するサービスです。

    信頼性の低い情報も多いため注意が必要ですが、検索エンジンで検索してもなかなか見つからないニッチな情報が見つかることもあります。私は過去にパソコンで見慣れないエラーが出たときに、知恵袋の回答をヒントに設定を見直し、解決したことがあります。

    NAVITIMEのルート検索

    NAVITIMEは、乗り換えやルートなどの検索ができるツールで、中でも自転車ルート検索が便利です。

    「距離が短い」「坂道が少ない」「坂道が多い」「大通り優先」「裏通り優先」からルートを選択できます。地図の最短ルートを使ったら坂道が多くて予定より時間がかかってしまった……ということを避けられます。

    5つのルートが表示され、走行距離や高低差などが確認できる

    Yahoo!のピンポイント天気

    今の天気を知りたいときに役立つのがYahoo!のピンポイント天気です。

    「〇〇区の今の天気はどうですか?」という欄で、その場にいる人が実況した天気が確認できます。直近1時間以内の情報なので、確度の高い情報です。個人的には雨雲レーダーよりも頼りになるツールです。

    直近1時間以内に報告された天気が確認できる

    検索との上手な付き合い方

    検索して得た情報というのは「知っている」ことですが、そこから考えたこと、行動に起こしたこと、感じたことは唯一無二のものです。何でも検索できる便利な時代だからこそ、「わかる(自分のものになる)」まで考えることを忘れないようにしたいものです。