先月、前職の同僚と久々に話をする機会がありました。
元々はアウトドアなどのアクティブな趣味を持つ方でしたが、仕事がリモートワークになり、外出もしにくい状況だったため、今ではすっかりYouTubeなどの動画サイトを観るのが日課になっているようです。
最近は何気なく観たVTuberにハマっており、「絵やパソコンの操作がもっと得意だったら、VTuberのような3Dモデルを作ってみたかった」と話していました。
実際、VTuberなどの動画で使用されている3Dモデルは精巧で、目の動きやちょっとした仕草などもリアルで可愛く(またはかっこよく)作られています。
初めて見たときは、「こんな細かい動きまで反映されているのか!」と驚きました。
私の3Dモデルに対するイメージは、「パソコンで絵が描けないと作れないのでは?」「ソフトのお値段が高そう……。」というものでした。
そのような中目に留まったのが、無料で簡単に3Dモデルを作成できるソフト、「VRoid Studio」です。
▼VRoid Studio
https://vroid.com/ja/studio
VRoid Studioは、イラスト投稿サイト「pixiv」で有名なピクシブ株式会社が提供しているソフトです。
作成した3Dモデルは、姉妹サービスの「VRoid Hub」へのアップロードや、VRM形式でのファイルのエクスポートが行えます。
エクスポートしたVRMファイルは、動画配信ツールや3Dゲーム、VRに対応しているサービスなどで利用できます。VRMファイルに対応しているサービスやアプリは、以下のWebページを参照してください。
▼VRMドキュメント VRMファイルが使えるアプリケーションは?
https://vrm.dev/vrm/vrm_applications.html
VRoid Studioの最大の特徴は、3Dモデリングの経験のないユーザーでも直感的に操作でき、誰でも簡単に3Dモデルを作成することが可能というところです。
3D制作用のグラフィックソフトを使ったことがなくても、本当に簡単に使えるのか気になったため、実際にVRoid Studioを使って3Dモデルを作ってみました!
VRoid Studioが起動したら、「新規作成」をクリックして、ベースの体型を決定します。
今回は女性のモデルを作成します。
ベースの体型を決めると、3Dモデルの作成画面が表示されます。
作成画面では「顔」、「髪型」、「体型」、「衣装」、「アクセサリー」、「ルック」の6つのタブがあり、クリックすると対応するパーツの設定ができます。
今回はこれらのタブの内容を順に見ていきます。
VRoid Studioでは、体の部位別にさまざまなパーツがあり、それらを自由に選択して3Dモデルを作成することができます。
例えば「顔」タブの場合、次のパーツが選択可能です。
・瞳
・瞳のハイライト
・白目
・まゆげ
・まぶた
・アイライン
・まつげ
・鼻
・口
・口内
・口紅
・チーク
・肌
・フェイスペイント
パーツの種類が多いこともあり、どれから決めるべきか、どのパーツにすべきか、正直迷いました……。
パーツをどう決めたらいいか悩んだときや、手軽にパーツを決めたい場合は、まず「顔」タブから「顔セット」を選ぶことをおすすめします。
顔セットでは、瞳、まゆげ、鼻、口のパーツがセットになっていて、一度にまとめて選択することが可能です。
最初に作成したい3Dモデルのイメージに合わせて顔セットを選び、あとから個別にパーツを選択したり、編集したりすると、パーツをスムーズに決めやすくなります。
右側に表示される「パラメータ」のメニューでは、スライダーを左右にドラッグすることで各パーツの設定を細かく調整できます。
あまりこだわりすぎると先に進まなくなるため、今回はデフォルトのままで進めます。
瞳の色は「瞳」から変更できます。
色は紺色にしました。
瞳に限らず色を選択できる部位では、カラーコードを直接入力しても、カラーピッカーから選択しても色を変更できます。
ここでは両目とも同じ色にしていますが、左目と右目でそれぞれ異なる色に設定して、オッドアイにすることも可能です。
右側に表示される「カスタマイズ」では、ブラシなどを用いて瞳を自由に編集できます。
グラフィックソフトに慣れている人であれば、ここでさらに自分好みのデザインに仕上げられそうですね。
続けて「髪型」タブをクリックし、「髪セット」を選択します。
色は明るめのベージュにしました。
髪型も左メニューの各アイコンをクリックすることで、前髪や後ろ髪、アホ毛などを個別に編集することも可能です。
髪セットの組み合わせが可愛かったので、今回はそのまま使っています。
「体型」タブでは、肌の色や身長などを変更できます。
鎖骨やのどぼとけの出具合という、リアルな身体的特徴も設定可能です。
今回は「身長の高さ」のスライダーを少し動かして、デフォルトよりも背を高くしました。
「衣装」タブでは、3Dモデルの服装を設定できます。
服装もそれぞれ個別に設定できますが、迷った場合は「全身セット」から選ぶのがおすすめです。
全身セットでは、上半身から靴まで、一度に全身のコーディネートを設定できます。
今回はシャツとワンピースとサンダルのセットを選び、春らしく柔らかいイメージの格好にしてみました。
「アクセサリー」タブでは、装飾品を追加できます。
この記事を書いている時点(2022年5月)では、メガネ、ネコミミ、ウサミミの3種類から選べます。
今回はメガネを着けてみました。
メガネの色はもちろんのこと、フレームの形や太さ、鼻にかかる位置まで調整できます。
メガネの色は、瞳と同じ紺系の色にしました。
これまでの設定ではパラメータはほとんど変更していませんでしたが、メガネに関しては少々こだわりがあるため、少しパラメータをいじってみました。
レンズ部分をデフォルトよりも丸くしてラウンド型のフレームにし、フレームを太くしたほか、鼻にかかる位置もやや下に設定しています。
「ルック」タブでは、アウトラインや目の可動域などを設定できます。
今回はアウトラインのみ変更しました。
アウトラインでは、3Dモデルの線の太さを髪、顔、体、アクセサリーごとに変更できます。
ほかのパーツでも同じではありますが、特にアウトラインは好みが分かれるところだと思います。
柔らかい印象を残しつつ輪郭はある程度表示させたかったため、デフォルトよりも少しだけ太くしました。
これで3Dモデルの設定は一通り終了です。
画面右上にあるカメラアイコンをクリックすると、3Dモデルの撮影画面に移ります。
デフォルトでは手を広げて立っている状態ですが、左メニューで「ポーズ&アニメーション」をクリックして、右メニューからデフォルト以外のポーズを選ぶと、3Dモデルがそのポーズを取ってくれます。
「作ったキャラクターが動いている……!」と、猛烈に感動しました。
ポーズを決めて、3Dモデル画面の右下にあるカメラアイコンをクリックすると、3Dモデルを撮影できます。
動いている状態で撮影するとブレる場合があるため、特定のしぐさを撮影したい場合は一時停止すると撮りやすくなります。
先述の通り、作成した3Dモデルは、ファイルのエクスポートやアップロードを行うことで、ほかのアプリやサービスでも使用できます。
今回は、姉妹サービスの「VRoid Hub」にアップロードしてみました。
VRoid Hubでは、VRoid Studioで作成した3Dモデルを公開したり、ほかのユーザーが作成した3Dモデルをダウンロードしたりできます。
pixivのアカウントを持っていれば、こちらも無料で利用可能です。
「アップロード」アイコン(上矢印のアイコン)をクリックして「VRoid Hubへアップロード」を選択し、キャラクターの名前や閲覧制限などを決めてアップロードを行います。
初回のみpixivアカウントとの連携を求められるので、画面の表示にしたがって連携を進めます。
サムネイル用に3Dモデルの撮影をした後、「アップロード」をクリックすると、VRoid Hubへのアップロードが始まります。
3Dモデルの容量や通信環境によっては時間がかかるので、気長に待ちます。
アップロードが完了すると、ブラウザー上でモデルデータに関する設定を編集できます。
自分だけが見られる状態にしたい場合は、設定を変更せず「非公開で登録」をクリックします。
登録が完了すると、3Dモデルが改めて登場し、じっくり見ることができます。
アプリ上でも動いている姿は確認できましたが、ブラウザー上のほうが動きがカクカクせず、かなり自然に動いていました。
これに関しては、パソコンのスペックやインターネットの環境によって、多少違いがあるかもしれません。
なお、キャラクターの名前は「プロフィールを編集」、公開設定やポーズは「モデルデータを編集」から変更できるので、3Dモデルを公開/非公開にしたい場合はこれらの設定を変更します。
VRoid Hubを使ってみて一番感じたのが、「思っていたよりもかなり簡単!」ということでした。
かつてCADを4時間で挫折した経験があるため、3Dグラフィックソフトの操作に自信のない自分でも使えるか不安でしたが、全くの杞憂でした。
VRoid Hubでは、基本的にはパーツを選ぶだけで3Dモデルを作成できるため、ペンタブといったイラスト制作用の機器やテクスチャの編集などの技術は必須ではありません。
「3Dモデルを素人が作るのは難しいのでは?」という思い込みを、見事に破壊してくれたソフトでした。
また、カスタマイズで服などのパーツを作成することもできるので、初心者だけでなく、グラフィックソフトの知識がある中級者以降でも使いやすい仕様になっているように感じました。
慣れてきたら、各パーツを自分で作って完全オリジナルの3Dモデルに仕上げるのも楽しそうです。
今回作成した3Dモデルは、現在VRoid Hubで公開しており、こちらから見ることができます。
パーツを選ぶだけで本格的な3Dモデルが作れ、アップロードしてブラウザー上でも見ることができるとは……。
改めて、画期的なソフトとサービスだなあと感じました。
自分の作成したモデルが動いている様子はなかなか感慨深いので、VR関連のサービスやアプリをすでに利用していたり、これから利用したいと考えている方は、ぜひ試してみてください!