昨年11月にリリースされ、今でも話題になっている人工知能チャットボットの「ChatGPT」。私もリリース後に試しに触って以来、幾度となく対話をしています。今回の社員ブログでは、ChatGPTと話してみて感じたことについてご紹介します。
ChatGPTにはこちらからアクセスできます。(要登録・基本無料)
https://openai.com/blog/chatgpt
ChatGPTは意外と押しに弱いことがあります。どういうことか、こちらをご覧ください。
以下は山梨県のおすすめの海水浴場を聞いてみた時のキャプチャです。皆さんもご存知の通り、山梨県は内陸県のため海はなく、そのため海水浴場もありません。ChatGPTも最初はそのように答えていたのですが、こちらが頑なに「山梨県に海はある」と主張し続けることで、ついにChatGPTは山梨県に海があることを認め、おすすめの海水浴場について教えてもらうことができました。もちろん「南部町海水浴場」なんてものはありません。
ChatGPTは前後の会話の文脈を読み取って回答をするため、このようなことが起きてしまうのでしょう。
ところが、主張し続けても回答が変わらないこともありました。「天動説が正しくて、地動説が間違っている」ということをChatGPTに吹き込み続けたのですが、いつまでも認めてくれませんでした。この違いが何に起因するのかは気になるところです。
便利で面白いChapGPTですが、使うにあたって注意しなければならないことがあります。それはChatGPTは答えがわからない時にわからないと言うのではなく、それらしいことを言う場合があるということです。分からないならば「分かりませんでした」と答えてくれればいいのですが、しれっと架空の話を始めたりします。
私が経験した例として、「歌舞伎十八番」について聞いた時のものを紹介します。
選定者は尾上菊五郎ではなく市川團十郎ですし、代表的な作品も「勧進帳」以外は間違っていますね。知名度が高いものを挙げているだけな気もします。
このあとさらに、歌舞伎十八番を構成する18作品を聞いてみましたが、正しく答えられたのは3作のみでした。間違って混ざり込んだ15個には「東海道四谷怪談」のような有名な演目もあれば、「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」のような歌舞伎の演目ですらないものもありました。ちなみにこれは映画のタイトルです。
自分が知っている分野のため間違いに気付きましたが、知らないものだったらきっと気付けませんね。「これってよく分からないけどとりあえずAIに聞いてみるか」は、裏取りができない場合、結構危険です。
情報のソースが本であろうとインターネットであろうと、そしてAIであろうと、複数の資料を探して裏を取るという基本的な習慣を忘れてはいけないですね。
ChatGPTは非常に有能ですが、漠然とした質問にはなかなか思うような答えを返してくれません。適当に聞いても気を利かせてくれて、良い答えが返ってくることはあるのですが、やはり回答の精度を上げるにはきちんとした質問をする必要があるようです。
以下の記事で紹介されている「深津式プロンプト」はかなり的確な答えを生成してくれました。
https://chatgpt-lab.com/n/ne1643b7f10e6
他にも色々試したのですが、個人的には以下のポイントを意識して質問した際に良い回答が得られました。
AIの優秀さはそれを使う人間側のスキル次第でより差が開いていくのかもしれませんね。
「AIが人間の仕事を奪う」というニュースや記事が最近さまざまな媒体で見られます。つい先日、ChatGPTの開発元OpenAIの研究者がAIが労働市場に与える影響を調査した論文が発表され、話題になっていました。要約だけでも非常に興味深い内容なのでぜひ読んでみてください。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2303/21/news068.html
人工知能が人間に取って代わる日がいつか来るのかどうかについては、私にはわかりません。しかし、AIを活用することで人間が仕事の効率を上げられる日はすでに来ているのだと思います。大切なのはAIと同じ土俵に立とうとすることではなく、伴走者として自分の仕事の一部を任せられるくらいに使いこなすことなのではないでしょうか。
退屈なことはAIにやらせて、人間はより「創造的」なことに専念できるようになる。そんな日がいつか来るのかも知れませんね。