私は現在、FUJIFILMの一眼カメラ「FUJIFILM X-S10」を使っています。見た目も評判もよく、何より価格がほかの一眼カメラと比べて手頃だったことが決め手で購入しました。
ところがあとで調べてみると、「これはAPS-Cサイズのカメラです」と書かれていて、「え、何それ?」と少し驚きました。どうやら一眼カメラには「センサーサイズ」というものがあり、「フルサイズ」と「APS-C」に分かれていることがわかりました。そして、このサイズの違いが、写真の写り方にも影響を与えるようなのです。
この記事では、そんな経験をもとに、APS-Cとは何かや、実際に使って感じた良さを紹介します。
まずAPS-Cに触れる前に、カメラの基本となる「焦点距離」について簡単に触れておきましょう。 焦点距離とは、レンズを通った光がカメラ内部でピントを結ぶ位置(=イメージセンサー)までの距離をミリメートル(mm)単位で表したものです。
「レンズが長ければ望遠」というのは、あながち間違いではありません。焦点距離が長いレンズは、構造上どうしても筒が長くなりがちだからです。ただし、実際の焦点距離はレンズ内部の仕組みで決まるので、見た目の長さと必ずしも一致するわけではありません。
APS-Cとフルサイズの違いは、イメージセンサーのサイズにあります。そして、実際の「見え方」に影響するのが、イメージセンサーの大きさです。
センサータイプ | サイズ(目安) | 特徴 |
---|---|---|
フルサイズ | 36mm × 24mm | 高画質・自然なボケ |
APS-C | 24mm × 16mm | 安価・小型・望遠効果が得られる |
APS-Cは、フルサイズよりセンサーが一回り小さいため、同じレンズでも写る範囲が狭くなり、結果的に遠くのものが大きく写るように感じられます。これを「望遠効果」と呼びます。実際の焦点距離は変わりませんが、画角が狭くなり、より望遠らしい映りになります。
具体的には、焦点距離を1.5倍ほど長くする効果が得られます。つまり、APS-Cカメラで撮影すると、常に1.5倍ズームされたような画角になります。たとえば、50mmのレンズは約75mmの画角に、35mmのレンズは約53mmの画角になります。
Webサイトやカメラ屋でレンズの作例として紹介されている写真は、多くの場合フルサイズカメラで撮影されています。レンズを購入する際は、APS-Cカメラはフルサイズよりも画角が狭くなることをあらかじめ考慮しておくと、使い勝手のギャップが少なくて済みます。
実際に、APS-Cカメラで撮影した作例をいくつか紹介します。
以下では、焦点距離の違う2つのレンズを使っています。焦点距離が「23mmのレンズ」と「56mmのレンズ」です。レンズは、焦点距離が約35mm以下が広角レンズ、50mm前後が標準レンズ、約85mm以上が望遠レンズとされるため、一般的に前者は「広角レンズ」、後者は「標準レンズ」に分類されます。
しかし、APS-Cカメラで撮影した場合、これらは約35mmと約84mmの画角となるため、前者は「広角レンズ」、後者は「望遠レンズ」の映りになるのです。
23mmの単焦点レンズを使用しているため、APS-Cサイズで撮影すると換算して約35mmの画角になります。実際に目で見た景色に近い印象で写真に収まり、わざとらしさのない自然な描写感です。 手元のものも綺麗に映すことができますよ。
56mmの単焦点レンズのため、APS-Cサイズで撮影すると換算して約84mmの画角となります。かなりズームな映りとなるため、机の上のものや手元のものを映すことは難しいですが、筆者としては非常に好みなボケ感や望遠感を演出してくれます。遠くにある建物が、しっかり大きく写っています。
実際にX-S10を使って感じた、APS-Cカメラの魅力を挙げてみます。
デメリットとしては、背景を大きくぼかしたいときにはフルサイズほどの効果は得にくいことがあります。また、イメージセンサーが小さいため、暗い場所での撮影ではフルサイズに比べてややノイズが出やすい傾向があります。
ただ、作例にもある通り、APS-Cカメラでも、背景をぼかすことや暗所での撮影は十分可能です。性能としてはとても満足しています。
「APS-Cってフルサイズより劣るの?」と最初は不安でしたが、実際に使ってみるとそんなことはまったくありませんでした。「安い・軽い・望遠撮影に適している」という実用面のメリットが非常に大きく、カメラを趣味として楽しむには十分な性能だと感じています。
はじめての一眼カメラを選ぶなら、APS-Cは安心しておすすめできる選択肢です。