新たに読み始めたものも増えてきたので、性懲りもなくいくつか紹介してみます。
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悪魔が人間にとりつく理由。それは悪意があるからではなく、人間が不幸になると出てくる不幸玉を集めるためだった。不幸玉は悪魔にとって食料でありエネルギー源なのだ。しかし、悪魔の王は、悪魔たちがエクソシストに退治されるのを嘆き、10年前に人間界への渡航を禁止。現在の悪魔は、リモートワークで安全に不幸玉を集めるようになっていた。主人公のエリート悪魔クォーターは人間界の美味しい食べものの味が忘れられず、禁を破ってロケットで人間界に渡るが、途中で事故を起こし、美食に縁遠い低ランクの青年にとりついてしまう。しかもその直後、青年はひき逃げにあって意識不明に。地獄に帰れなくなったクォーターは、青年の体を操って、大企業への就職を目指すのだが……。
今、すごく気に入っている作品。藤子F不二夫のマンガに出て来そうな悪魔がとにかくカワイイ。悪魔から見た人間たちの描写はわかりやすい皮肉に満ちていて、SF短編的な面白さがある。
異世界転生した勇者は、10年の冒険の末、ついに魔王を倒す。しかし、ファンタジー世界の女神に「レベル1からやり直し」を命じられる。冒険パーティーの仲間を皆殺しにして自分のレベルを上げる、といった非道な行いを繰り返したため、不合格になってしまったのだ。今度は評判を下げずに最短でのクリアを目指すが、非道な性格は変わらず……。
絵がカワイイ。なので、主人公がサイコパス気味な悪行をしても、あまりイヤな気分にならず、さくさく読み進めてしまう。お供のヒロインが、基本うしろで「ひいい」とかいっているだけなのも、それはそれで面白い。
主人公の韓国軍軍医は、突然広まったゾンビウィルスの中、妻子の元へ向かっていたはずだったが、ふと意識を取り戻すとゾンビになって1年が経過していた。事前にワクチンを打っていたために、人間の意識を取り戻すことができたのだ。同じくワクチンで意識を取り戻していた軍の仲間と合流するが、彼らは腐っていく内臓を移植するために生きた人間を監禁するという、ゾンビよりも醜悪な存在となっていた。主人公は人々を救い出し、妻子と再会するために旅を続けるのだが……。
意識を取り戻したゾンビの話は他にもあるけれど、ドラマ性高め。タイトルの「ヒトの欠片」は、もちろん「人間性の欠片」とかけているわけで、ゾンビになっても家族だけは救いたい、もしくは自分たちだけ生き残りたいという、人の業がテーマ。重い話ながらも絵柄が明るめなので、「地獄」に比べると読みやすい。ヒロイン役の女子大生のタフな明るさにも救われる。
19~20世紀初頭頃のヨーロッパ風世界が舞台。みなしごのヒロインは、女優にあこがれて劇団で下働きをしていた。ところが劇団が解散することになってしまい、「魔女」が住むといわれる屋敷で働くことになる。魔女の正体は、過去の心の傷から引きこもりがちになった、ただの老女だった。持ち前の明るい性格のヒロインは、何とか女主人の心を開こうとするのだが……。
ひとことでいうと「世界名作劇場」。こういうタイプの物語は、最近見ない気がして新鮮。
とある伯爵家の少年ヘイデンは、ハンサムな父と美しい母に囲まれ、幸せな生活を送っていた。ところがある日、自分が伯爵の実の子ではないことを知ってしまう。さらにそこへ、伯爵の昔の恋人とその息子が現れ、自分たちを認知するように迫ってくる。領地の町では、ヘイデンは偽物の跡取りという噂が流れ……。
最初なぜかコメディだと思って読み始めたので、なかなか酷な展開にびっくり。ヘイデン少年は普通に可哀想である。両親は不仲だが、本当に嫌い合ってはいない描写がところどころに出てくるので、ハッピーエンドになるとよいのだが……。
ヒロインはよくある物語転生者で、ファンタジー世界の財閥の長女。切れ者で跡取りと目されていたが、求婚者を妹に取られてしまう。一族の掟で、結婚しないと財閥を継ぐことができないため、数週間以内に結婚相手を探さないと、後継者の座も妹に奪われてしまうはめに。神殿の騎士団長に目を付けるのだが……。
転生要素はなくてもいいレベル。切れ者のヒロインがサクサクと障害を乗り越えていく様子は、読んでて楽しい。
子供のドラゴン、カルセアリンは人間の勇者にあこがれていた。ある日、人間に変身した彼は町に潜りこむが、悪い人間にだまされ、カルセアリンにそっくりな王女の身代わりにされてしまう。そして、帝国の侵略に利用されるのだが。
これも絵がカワイイのだが、人間はだいたい悪者で、話はそこそこエゲツない。主人公も脳天気で明るいが、人間らしい良心もないので、悪気なく村を滅ぼしたりもする。
物語の序盤で死ぬ、余命数ヶ月の公女に転生してしまった! 召使いたちの看病や、おつきの騎士が手に入れてくる薬膳料理のおかげで、余命は少し伸びたのだが、それでも部屋を2、3歩か歩ける程度。彼女の命を狙う暗殺者も現れ、病弱な公女の明日はどっちだ?
ヒロインがほとんど動けないせいで話もあまり進まず、この先どうなるのかサッパリ見えてこないが、前向きにリハビリを続ける様子はちょっと気持ちのよいものがある。
ヒロインは20歳だが、モンスターペアレントの母親のせいで学校に通えなくなり、姉の世話になって引きこもって暮らしていた。友だちはオンラインゲームでパーティを組む一人だけ。ひょんなことから、剣道の道場に通うことになり、そこの高校生がゲーム仲間ということに気が付く。
ヒロインが剣道場に通ううちに、少しずつ社会復帰していく話かな。こういうスローペースな日常ものも時にはいい感じ。
主人公の高校生は、極道の親分の息子ながら、幼なじみの「いい人が好き」を聞いて、優等生を目指していた。ところがある日、幼なじみは不良と付き合い始める。「だったら悪い男になってやる!」と悪の道を目指すのだが。
不良ギャグマンガ。主人公の家に住んでいるおじさんたち(組員)がいい味を出している。
一見平凡な高校生の主人公だが、彼の手品はまるで魔法のよう。それもそのはず、彼は魔法界から来た魔法使いだった。彼を仲間にしようとしつこくつきまとう、同じ高校のヤンキー達。やがて彼の周りには邪悪な黒魔法使いたちも現れ……。
「社長をロック解除」のパク・ソンヒョンの新作。主人公とヒロインの次に活躍するのが、ヤンキーの村田チーズ丼(本名)と、相変わらずギャグのキレがいい。今回は少しシリアスも多めか。
美大生のヒロインの夢は、幼い頃に出会ったダビデ天使様(ダビデ像のような筋肉の天使)に再会すること。理想の筋肉を求めて入会したフィットネスジム「ハニーマッスル」で、三人のイケメンマッチョと出会う。彼らはそれぞれヒロインとの過去の因縁があった。果たしてダビデ天使様は誰なのか?
ゆるさが最高にいい。このまま最後までゆるゆるで進んでほしい。
生まれてから不幸続きだったヒロインは、宝くじの1等を当てた直後、事故死してしまう。その魂は異世界の魔界に流れていき、魔女の肉体と魔力を得て、魔王の姫としてよみがえった。魔法で作られたウサギ顔の侍女たちにかわいがられて過ごすのだが……。
「公女様が邪悪です」によく似た作品で、こういうジャンル(子供に転生して可愛がられる話)があるらしい。個人的な見所は、顔だけウサギの侍女軍団。タマネギ部隊みたいな。WebToonのようなカジュアルコンテンツは、毎話なんとなく見たくなる要素が重要なんだなーと感じる。
女子高生のヒロインは、ある日体が毛深くなって犬のような耳とシッポが生え、満月の夜には狼男(狼女?)になってしまう。体質に悩む彼女の周りには、霊感少年や鳥としゃべる少女など、変わった仲間が集まり始め……。
「純情より従順」の作者の学園コメディもの。何となくこっちのほうが先に描かれた感じがする。見所は、すごくてきとーな狼男の絵。てきとーさがツボに入って、たまにしか登場しないのが残念。